箒に跨り空を飛ぶ

数年前の登山ブームに乗っかった中高年夫婦と、
最近の山ガールブームに乗っかった小娘の、ミーハー親子のグダグダ日記、後編。

午前４時すぎ。
どこのテントサイトよりも早いこぶた家の朝。

ひんやりとした空気の中、
昨日作っておいた煮込みうどんでお腹を満たし、

ダラダラと荷物をまとめたためか、
結局６時前に他の登山者さんと共に出発した。


おいおい、ほんとにたどりつくのか??












標高１５００m程のキャンプ場から歩き出し、
１時間くらいかかったでしょうか、
やっと１９００mまで到達。
平坦なゴツゴツ岩道ともお別れし、
やっと登りに入るところだったのですが。

高山病になりやすい（らしい）母がペースダウン。

｢ほら、もこちゃん　キノコがい～っぱい｣
そんなこと言われなくたって、
同じ道を歩いているのだから見ればわかる。

喋る余裕があるなら、足をすすめてくれと母に願う。


それにしても、たしかにこの登山道はキノコロードで、
愛おしくなるキノコたちがあちらこちらでにょきにょき。

　　　　　　　　　　　　

どれがなんというキノコかはわからないが、
この苦しく長い登山道のなか、
そのかわいいフォルムでたたずむキノコの姿にうっとり。

気がつけば標高２１００mを超えるところまできていた。

山地図で見る限りはそこそこ予定時間通りに登っているよう。

しかし、こぶた一家のペースはみるみるダウン。
このままで行くと、予定登頂時刻１０時にはつかないのでは‥‥。



そして、ついに父が禁断の一言を言ってしまう。


父｢俺ら（父・母・兄）は
前に山頂まで登ったことあるから、いいよな｣

ん？（・∀・）Ψ？

父｢帰りの渋滞に巻き込まれないうちに、早めに下山しよう。
１０時になったら、登頂できなくても下山!!｣



((°Д°;;)))ハァーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!???????


いやいやいやいやいやいやいや。

あなたの
娘さんは登ったことないんですよ？




その爆弾的発言に、怒りも込みげてきたのだが、
ここはしのごの言わずに自分だけでも山頂を目指したほうが良さそうだ。




ノロノロこぶた一家と別れ、
わたしは１人で山頂をめざすことにした。





ぜぇはぇぜぇはぁ。
足よりも腰よりも、呼吸が苦しい。


それでも、頂上見たさに歩き続け、
一家と離れてからさらに１時間くらいだろうか、金峰山の山小屋に到着。


ここまで、ひたすら林の中を歩いていたので、
森林限界をすぎたこの解放感がなんともいえない。


頂上までもう見えているということもあり、テンションアップ。

しかし、他のこぶた家はあれからどうなったのか、
気になってはいる。


標高２１００m時点での母の呼吸状態からすると、登頂は難しく、
父も体力的にきつそうな気がする。

ひょっとして、みんなもう下山し始めているのではないか、
そんな不安もよぎる中、

15分後、兄が山小屋へ到着。


トドも山に登るんだな、と感心していたが、
やはり持っていた食糧は来る道中にすべて食べきってしまったとのこと。

妹｢もこ金融の金利、マジ高いからね。｣

お金も携帯も持ち合わせていない彼に、
昨日作ったプラムのジャムと1000円札を渡す。

我ながら、少なからず彼よりはできた妹だと自負している。

そのお金で、山小屋でスニッカーズをゲットした彼と再び山頂をめざすことにした。



さっきまでいた山小屋が、どんどん小さくなっていく。
同時に山頂が、どんどん近付いてくる。


キターーーーー!!!!!!!!!!



この日の山頂は人が多く、五丈岩までは行けなかったが、
兄より一足先にこの絶景を楽しむ。



久し振りに電話が鳴った。


父｢山頂ついたみたいだね～。お母さんと今山小屋まで着いたよ。僕たちはここで待ってるよ。｣

遠く小さく見える山小屋の脇に、米粒サイズの水色のおばさんと
グレーのおじさんの姿を確認できた。


父｢マサ（兄）君が山頂に着いたら一緒に降りてきて。10時になるから。｣

頂上の空気をもっとゆっくり楽しみたいのに、
この父の帰る時間のゆるぎなさといったら‥（ワナワナ）




かくして、兄も登頂でき、
兄妹２人で山小屋まで下山。
（山小屋～山頂は２０分くらいでわりと近い）




まぁ、ここまで家族で来られただけでも、よしとしようww



というわけで、結果。
父→腰痛のため、ダブルストックで健闘するも登頂かなわず。
　　笑ってごまかしてはいたが、きっと悔しい思いをしていたに違いない。　

母→高山病？（本人はそう言っているが）のため、早い時点でリタイア。
　　山小屋到着でだいぶ満足げ。
　　マシンガントークは高度に反比例して口数が減っていった様子。

兄→なかなかの大健闘。父と「登頂できたら１万円」という賭けをしていたらしく、
　　帰りの車の中で１万円を本当に要求していた。
　　いやいや、まずは妹に借りたお金を返しなさいと。


そんなこんなで、騒がしいこぶた一家の登山は終了したのでした。





～おまけ～

帰り道の休憩の多さは半端なく、




やはり標高が低くなると、母が我を取り戻し、
カカァ天下（？）のこぶた家の様子が垣間見えたのでした。


おしまい。